Texty

彩られた思い出は
その先に続く選ばなかった未来さえも
美しく名残惜しいものにしてしまうけれど
ないものねだり
選ばなかったからそう見えることもわかってんだ
わけもなく目が覚めた深夜二時
風を待つ雨はシトシトと降り続く
「そうか」とため息交じりにつぶやく
半透明な意識の中
鮮明な夢が残すタラればの幻影
ただの寄り道だったと
腹に落としたつもりでいても
揺さぶられた澱(おり)がゆらゆらと
浮き上がり
少しばかりの後悔を引っ張り出す
彩られた思い出は
その先に続く選ばなかった未来さえも
美しく名残惜しいものにしてしまうけれど
ないものねだり
選ばなかったからそう見えることもわかってんだ
雨音に溶けていく回想と想像
ただここにある日常へと流れていく
降り続いた雨は明け方にあがり
風立った街を平凡と朝焼けに染める
うなだれた自分の亡霊を
追い出すように窓を開け大きなあくびをひとつ
あの日欲しがったものは
ここにないけど
まあこんな何でもない日々も
悪ないよなって
雨上がりの透明な空気を深く吸い込む
輪郭すらない期待をまとって
はねた髪を右手でおさえ今日を始める
Written by: FUNNY_KOTAN/U
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