Cosmo Traveler

眠れない夜は布団を抜け出して

 レースカーテンの向こう側

 星たちの瞬きに耳をすませる

 伸ばせば届きそうな手を差し出した

 するとまるでそれは夢のように

 僕の目の前に舞い降りてきたんだ

 差し出した僕の手を握って言った

 「星を巡る旅に出よう。」

 どこまで行くの？

 「どこまでも行くさ」

 どうやって行くの？

 「手を握っていて」

 そう言ってそれは空高く

 僕を連れて風を切る

 街は小さく空は大きく

 手に取るような星明り

 僕らは一夜の旅に出た

 子ギツネの尻尾をなぞって

 銀色に光る白鳥の首筋を滑る

 大きな鷲のしなやかな背に乗ったら

 アルタイル越え竪琴をかき鳴らす

 半人半馬の射手が放った矢は

 蛇の尾を貫いて虚空の彼方へ

 遠くに響くオオカミの遠吠えに

 目覚めたサソリの赤い目をかいくぐる

 「疲れてないかい？」

 すこしだけ。

 「なら休もうか」

 それが良い。

 そう言って僕らは天秤の両端で

 腰を下ろし見渡した

 イルカは海へ龍は空へ

 飛沫は星屑に変わって

 僕らは回る宇宙を回る

 ヘラクレスに微笑みかけた頃

 「そろそろ眠れそうかい？」

 いいや、もう眠れなくたっていいんだ。

 「そうかい？それなら、」

 『アンドロメダも見にいこう。オリオンだって見にいこう』

 そして僕らは星になる

 飛んで行く２つの箒星

 盾を突き抜け冠越えて

 僕らは星になった

 夜を眠らぬ星になった