ポイ

狭い水槽の中泳ぐ私を

あなたは掬い上げた

きらきら光る外の世界を

あなたは見せてくれた

悲しくて苦しくて

500円くらいの価値

あなたがさ遊びでも

私は本当に幸せだったの

何度掬ったって

誰を掬ったって

どうせ捨てるんでしょ

ポイって

私が愛してたあなたの心は

きっともうどこにもない

すぐにあなたは帰ってくると

なぜか期待をしてた

何度も痛くなる心臓の音だけが

その答えを分かっていた

傷ついて傷つけて

その傷を舐め合って

簡単に破けそうな道具で

ねえどうか

も一度掬って私を

何を言い訳したって

誰の所へ行ってたって

私は捨てられたの

ポイって

私が欲しかったあなたの心は

最初からどこにもなかった

愛された証など

そんなものはいらなくて

その顔は見たくないはずなのに

ねえどうして

今すぐに会いたい

何度も繰り返し

誓った言葉は

一瞬で消えてった

泡の中

ごめんもありがとうも

二度と伝えられない

私は魚

何度掬ったって

誰を掬ったって

どうせ捨てるんでしょ

ポイって

これから繰り返す毎日の中に

あなたの影は微塵もない