ぺたんこパンプス

腕枕は腕が痺れるから

あたしが眠りにつく前に

外されてしまう ほんの少しの

ごめんって顔と共に

あまり興味のない話は

とりあえずの相槌

それに気付くあなたは

拗ねながらも最後まで話す

このぐらいが ちょうど良いね

頑張りすぎないぐらいが心地良い

ヒールじゃなくて ぺたんこのパンプスで

居させてくれるあなたが良い

ムダ毛の処理を忘れてしまったって

ムカついた話 そいつの悪口も

全部全部ありのままの

あたしを受け止めてくれるから

多少のお酒の情けない失敗も

多少は許してあげるよ だから

多少の拗らせたやきもちも

多少は許して愛でてくれよ ねぇ

歪む顔のあたしの隣

納豆とキムチを掻き回す

「ネギ臭い」と歯磨きしまくっていた

あの日のあなたはどこ？

このぐらいが ちょうど良いね

頑張りすぎないぐらいが心地良い

誕生日も大事な記念日も

忘れるとこは嫌いだけど

帰りがあたしより早い日は

あたしの大好きなパスタを作って待って

「こんな日ぐらいは」と

スカした顔するとこも愛しい

化粧したまんま寝ちゃうとこは

そろそろ直してみるよ だから

脱ぎっぱなしの靴下はちゃんと

洗濯カゴまで持ってってよ

でも、たまには 痺れたって食いしばって

起きるまで腕枕してみてよ

強引に抱いてみてよ

付き合いよりあたしを選んでみてよ

そしたら多分 嬉しいよりも

あたし そうさせてしまったって

罪悪感を感じてしまうタイプなことも

きっとあなたは分かってる

だから このぐらいがちょうど良い

ぺたんこパンプスが心地良い

インソールなんて入れなくていいよ

そのままのあなたがあたしも好きよ

愛してるよ