愁いの人形

世界はいつだって五月蠅い

知りもしないのに

ある事ない事 好き勝手

いつの間にか本当みたいに

ただ其処に居るだけで 私

「呪いだ」って 嬉しそうに

貴方が褒めてくれた綺麗な黒髪は

もう 膝まで伸びたわ

心など持っちゃいけないモノとして生まれて

最期まで貴方だけ見つめてた

零れた涙が総て貴方の頬に落ちて

「乾いてしまわないで」

お通夜の午前三時

あなたはいつだって優しい

無口で不器用な人

世界中の素敵な話

飽きもせず毎日 独り言みたいに

夕間暮れ 台所 うずくまる貴方を見ていた

動けない 自分の事が憎くて ただ呪った

零れた涙は全て貴方が教えてくれた

優しさとかいうやつが

私を変えてしまった

貴方を忘れないように

目の奥焼き付けたいのだけれど

滲んでうまくいかない

この夜が明けるまで

誰かの足音がする