黄泉路に咲く花

静かな風が吹く　月影揺れる夜

朱の花びらひとひら　掌に落ちて

耳を刺す囁き 「ここへ来て」と呼ぶ声

冷たい土の香りが　心を縛る

行かないで　帰らないで

その声は甘く　誘う

遠ざかる灯火　滲む景色に

目覚めた　夢の果て

朽ち果てぬ　記憶の鎖

心を蝕む　黄泉の声

進む道は　茨の道

迷い込むは　魂の行方

桜の下に　集う影

踊るように　揺れる亡者

嗤う月が　映す夜に

黄泉の道が　解き開く

朱に染まりし　黄泉桜

その赤色は　涙か血かと揺れる

美しさに　酔いしれて

心を失う人よ

香り立つ命の　残像

その美しさが　全てを奪う

真紅の花びら　散るたびに

魂は深く　沈むゆく

桜の下に　集う影

踊るように　揺れる亡者

嗤う月が　映す夜に

黄泉の道が　解き開く

声は止み　広がる闇が

静寂の中に　残されて

明けぬ夜に　囚われる

帰る道を忘れ

桜の赤に　滲む影

その根に　眠るる魂よ

季節は巡る　黄泉桜

永久の花は　散りはせぬ

枯れぬ花に　秘められ約束

黄泉を越えて　輝く灯火

幾千年の　時を越え

この桜は　語り続ける

声は止み　広がる闇が

静寂の中に　残されて

幾千年の　時を越え

この桜は　語り続ける