さわれない声

生き方一つで何かが変わると思っていた

やり方一つで世界が変わると思っていた

けれど結局性格は遺伝だから

僕がどう向き合ったって 変わらないまま

大丈夫 僕は誰といても

少しだけ楽しんだふりをできるから

本当のことなんて 話す価値がないんだ

人が求めているのは嘘だけ

僕が変わらないと 君は変わらないけど

君は僕が変われないことを知っている

嘘が終わらないと なにも変わらないのに

君は僕のさわれない声に 泣いただけ

抜け道一つで世界を出し抜けると

信じて生きていくには 年老いたか

「人生はいつからだってやり直せる」

なんて説教じみたことばかりの成功者

素晴らしき 僕の叙情性は

誰のことも幸せにしないから

大抵の感傷を 隠れてやり過ごす

弱さを見せたらまた笑われるか

僕が変わらないと 君は変わらないけど

君は僕が変われないことを知っている

嘘が終わらないと なにも変わらないのに

君は僕のさわれない声に 泣いただけ

僕がいなくなったら 君は悲しいと言う

だけど僕がほんとに いなくなったらどうかな

なんて考えるほど 人を信じないのは

裏切られる痛みを 遠ざけていたいから

生き方一つで何かが変わると思っていた