ポストヴィーナス

連日の雨に溺れていた

枕を濡らしたまま石になっていく

ねじれたジョウロで水を注いでも

枯れた花は泥まで啜っていく

太陽が当たり前に眩しいように

息の仕方を知っているなんてさ

奇跡だぜって何かで言っていた

伸びた爪を噛んで暇を研いでいる

新しい朝　素晴らしい歌

頭の中でぐるぐるまわっている

金星が当たり前に瞬いているように

息の仕方を知っているなんてさ

奇跡だぜって誰かが言っていた

頭に落っこちてきた

夜空の洪水達よ

一番に見えていた

あのヴィーナスは光っていた

要らないもの

捨てていいからね

あれもこれも全部　お前次第なのだ

裸足は窓の外に足かけて

壊れた電気信号を

飲み干して笑っていた

風邪をひいた兆候だ

ささくれは棘になる

つま先で夜を掻く

また夢で砂を噛む

瞬きが宙に舞う

ささくれは棘になる