クレジット
PERFORMING ARTISTS
MOROHA
Performer
COMPOSITION & LYRICS
UK
Composer
アフロ
Songwriter
歌詞
[Verse 1]
時は令和 世田谷下北沢
練習にしばらく来てなかったボーカルの雄介が
スタジオのドア あけるなり放った言葉
「俺、今日でバンドやめる、みんなごめん」
水を打ったように静まり返ったリハスタ
メンバーはひたすら彼を引き留めた
だがそれを遮って 「もう決めたんだ」
そう呟いたきり彼はただ俯くだけだった
沈黙とため息が幾重にも重なった
諦めと苛立ちがそれに絡まった
煮えたぎる腑 堪えきれずメンバーが彼を罵った
「裏切り者」
[Chorus]
償い 繕い 切れない 罪背負い
人は哀しくも健気に生きていて
求め合い 擦れ合い 絡み合い すれ違い
過ぎてしまったことはもう二度とは戻らない
[Verse 2]
僕だけが知ってた
二ヶ月前 自粛明け久々のライブ
皆漲ってた 歓喜の拳上がり 復活の兆し
「きっとこれからだ」
そう笑い合い肩を抱いたあの夜に
雄介の体へと忍び込んでた
喜びと興奮の影へと潜んでた
最悪の悪魔 その名はコロナ
そして引き起こされた 家庭内クラスター
雄介は無症状 だがしかし祖父を襲うウィルス
咳 高熱 緊急搬送から隔離病棟
窓のない病室 見舞うことも許されず
年老いた祖父の孤独を思う
[Verse 3]
病状は少しずつ安定してきてたはずだった
それなのに真夜中 鳴り響いた電話
青白い母 受話器握りしめたまま
「雄介、おじいちゃんが…」
[Chorus]
償い 繕い 切れない 罪背負い
人は哀しくも健気に生きていて
求め合い 擦れ合い 絡み合い すれ違い
過ぎてしまったことはもう二度とは戻らない
[Verse 4]
「生前、故人が大変お世話になりました。
多くの方にご参列頂き喜んでいることと思います」
[Verse 5]
基礎疾患からの合併症
カルテ上 死因は心臓病 だとしても
「もともと具合悪かったんだから、あんただけのせいじゃないよ」
と母は慰めた
だが雄介は祖父が微笑む遺影の下
泣きながら床に頭を擦り付けるしかなかった
繰り返す懺悔
「どうして? 俺は? なんで?」
それからというもの 彼は人が変わった
ギターを売り払い 全てのCDを叩き割った
そしてもう二度と音楽に触れることはないと誓い
あの日 スタジオへとやって来たのだった
[Chorus]
償い 繕い 切れない 罪背負い
人は哀しくも健気に生きていて
求め合い 擦れ合い 絡み合い すれ違い
過ぎてしまったことはもう二度とは戻らない
[Verse 6]
もう二度と戻らない
[Verse 7]
今日 雄介が僕の部屋へと駆け込んできた
息切らし 目を腫らし 泣きじゃくり
子供のように全身を震わせながらその胸に
抱きしめていたのは一枚のCD
それは僕達のアルバム
面会謝絶だった 祖父の病室
その引き出しにしまわれていたものらしく
そしてその歌詞カード 最後のページの空白に
『頑張れ 雄介』
と刻み込まれてた
揺れる筆跡 細く頼りない だがしかし
命一滴 ただ一言の遺言が 願いが
確かにそこには宿ってた
それを天に掲げひざまづき雄介は大声で
「歌を歌いたい」
と叫んだ それを聞いて僕も思わず叫んでた
「頑張れ 雄介」
[Chorus]
償い 繕い 切れない 罪背負い
人は哀しくも健気に生きていて
愛し合い 思い合い 支え合い 庇い合い
なんだかもらい泣きの涙が止まらない
[Chorus]
償い 繕い 切れない 罪背負い
人は哀しくも健気に生きていて
愛し合い 思い合い 支え合い 庇い合い
なんだかもらい泣きの涙が止まらない
[Verse 8]
彼は許されたのか?
その答えは わからない
だけど 僕が発するこの声が
どうしても 僕一人のものだとは思えなかった
[Verse 9]
頑張れ雄介 頑張れ雄介
頑張れ雄介 頑張れ雄介
頑張れ雄介 頑張れ雄介
頑張れ 雄介
Written by: アフロ

