春の彼方

花咲く道の真ん中で　幼い言葉を並べて

「優しい人なんだね」　隣で君は微笑んだ

花びらがふわりと落ちて

行き場のない　この不甲斐ない思いだけ

朝日が昇って　星が流れて

私の頬に触れて　君の手を握った

涙が零れてしまう前に

今すぐ君に伝えたい　このメロディ

夕暮れ　下る坂道と　隠した別れの言葉を

今更思い出してしまうのは　止まった青い季節のせい

花びらはふわりと落ちて

こうして　またひとつ歳を重ねながら

また手を握って　頬に触れたくて

朝日が照らす憧憬　君をただ見ていた

いつから私はあの場所から

帰れないまま　こうして春を想う

止まった秒針のように

寂れた路地裏のように

涙で霞んだ星空のように

あの日のまま　この世界は

何にも変わらないまま

 

朝日が昇って　星が流れて

私の頬に触れて　君の手を握った

明日は空がきらめくように

今から君へ

朝日が昇った光を　忘れないように瞼に焼きつけても

君がほら　また遠くを歩いてくから

消えないようにとそっと　心のどこかできっと

思い出してるんだろう

見上げれば　遥か

春の彼方