帰り道のスパーク

眠る町を起こさぬよう

エンジンを掛けたらすぐ出掛ける

ブラックコーヒー　朝へ滑り込む

パパが出掛けて　目覚めた僕

宿題はかばんの中

おはよう　いただきます

行きたくないなぁ

行ってきます！　朝へなだれ込む

家族を送り出して

ホッとしたのもつかの間のママ

洗濯完了　天気はオッケー

戸締り万全

新しい一日がはじまる

いつものように

現場の若い子に言い過ぎたな

ヘマしたあいつ

今日は来てるな　頑張ってるな

3時のタバコタイム

飲みにでも誘ってみるか

意地悪なあの子の前じゃ

鈍くさくなってしまう僕

帰り道　猫のマーに触れば

忘れられるかな

疲れた体　気合を入れて

もうひと仕事は

気難しくなってきたあの子のご飯

夕暮れは誰も急ぎ足

クラクションに振りむけば

クリスマスのイルミネーション

振り返ったときにしか

見えない景色がある

振り返ったときには

いつも輝きの中

自販機でかがむ後ろ姿に

ランドセルの傷跡に

幼子の手を引く怒った顔に

頑張ってるね　頑張ってきたね

いつかきたこの道を

誰かが歩いてゆく

タイマー仕掛けで

スパークする瞬間がある

今日も輝きの中

今日もやさしさの中

今日を紡いでゆく

さよならの日まで