おいていったもの

帰り道の人ごみの中一人で歩いて行くよ

夕日がやけに眩しくて

不意に君の面影が浮かんだ

寄り添った日々、交わしたキス

瞼にこびりついて

消えてくれないよ

背伸びをしたまま「取れない」と喚く君

何だか微笑ましくて

こんな日々がこの先もきっとずっと続くと思ってた

抜け殻の僕の部屋の中には君の使ったままのアイロンが

それを見ただけで

今涙がポロポロ溢れてきた

五年ぶりの一人の夜をこれから過ごさないといけない

あ、そうか、これからはずっと

君のいない部屋になるんだ

新婚旅行、何気ない会話

かけがえのない君

胸に甦る

背伸びをしたまま「取れない」と喚く君

背が少し小さくて

僕が代わりに上の棚の物取ってあげていた

抜け殻の僕の部屋の中には君の脱ぎっぱなしのスニーカー

それを見ただけで

今涙がポロポロ溢れてきた

こんなにも人を愛したことなんて

今まで一度もない

部屋の片隅でずっとずっとずっとうずくまっていた

抜け殻の僕の部屋の中には君の使ったままのアイロンが

それを見ただけで

今涙がポロポロ溢れてきた