紅とんぼ

ただ吹き抜けるには涼しすぎた風が

 空を冷やしてる

 気分をのせるために精いっぱい吸って

 熱にうなされた心に流し込む

 終わりかけた花に水をやりながら

 すこし背伸びしたら

 窓辺には　紅色とんぼ

 すがりつくように手を差し伸べた

 飛んだ飛んだ　みんな飛んだ

 そして逃げた　すべて逃げた

 残された僕の指は

 大きな両手になった

 シルエットになったままの

 紅いフィンが空を回る

 右に左に澄んだ羽音を

 滲ませ

 とても淋しすぎたから

 身体を炎の色に染め上げた

 気づけば淋しさだけで紅くなれたら

 いいのに

 咲いた咲いた　紅い花が

 失われた心の炎

 刻まれた空の傷に花は広がってく

 いつの間にか傾いた日差しの中で

 燃え続ける

 紅い僕の残がいを君にも

 飛んだ飛んだ　みんな飛んだ

 そして逃げた　すべて逃げた

 残された僕の指は

 大きな両手になった

 シルエットになったままの

 紅いフィンが空を回る

 右に左に澄んだ羽音を

 滲ませ