虹の花

丘の上に咲く花を誰も見たことがないと言う

 その花を見つけだした恋人達は童話の王子とお姫様になって

 争うことがなく苦しむこともなく永遠の真の愛を育めると言う

 僕はただ世界中の人達が幸せに病むことなく笑ってくれたらいい

 ある晴れた日の午後　彼と彼女は　その綺麗な花を見つけたいと言いだした

 さぁ　ふたりで行こう奇跡を探そう　幸せに辿り着き涙に代わるその理由を

 争い合いたくない　君を疑いたくない　澄んだ朝も輝く昼も

 ふたりの夜も静かに君だけをきつく抱きしめていたい

 争い合いたくない　君を離したくはない　生きる為に奪われていく

 ふたりのこの愛を　時を停め清らかに君を見つめていたい

 丘の上に続くその道は急な坂や曲がりくねった険しさもある

 静寂に包まれた彼と彼女は太陽の光を樹木に消されていた

 だから歌を歌おう　愛する人に　彼女が今　不安にならないように

 僕は願う　世界中の人達が幸せに病むことなく歌を歌えるように

 道は続いていく　彼と彼女は互いを思いやって坂道を歩いた

 彼女を守りたい　奇跡を探したい　幸せに辿り着き涙に代わるその理由を

 守り抜くこと　分かち合うこと　信じぬくこと　与え合うこと

 彼は今　丘の上にいる　彼女と手を繋いでいる　厚い雲が空を覆って

 やがて雨になり　傘もなく　ふたりを強く打ち続けていた

 でも花を探していたい　決して諦めたくはない　きっとここに必ずある

 ふたりのその花を見つけだし永遠に君を幸せにしたい

 彼は今　丘の上にいる　彼女と手を繋いでいる　厚い雲は風に流れて

 やがて光になり太陽がふたりを強く照らし始めた

 彼女の髪が輝いている　雨のしずくが輝いている　彼は見たその奇跡を

 丘の上の花を　虹が今ふたりの顔に映り咲いていた