Слова
五分早めた時計の針が
また今日も朝の鐘を鳴らす
癇癪起こす頭を小突いて
それを黙らせて遅い支度にかかる
残酷なのは不可逆な世界
考える暇などいくらでもあった
時計は廻る 日付は変わる
夜は明日を匂わせている
足りない頭と財布を絞って
俺は漠然と膝を震わせている
トラムの窓に流れる景色は
十七、十八世紀の面影
世界中から集う学生
Mannheim ここは時代と世界の交差点
ポケットの中の小銭の山は
さっきの煙草屋で泡になって消えた
切符を頼む金もなくなって
街灯の光をなぞる誰そ彼
絨毯のように降りしきる雨と
悪い知らせが両の裾を濡らすから
居候極め込んだ
彼の部屋の鍵をかけて
仮住まいの部屋で、借り物のギターで
気休め?百も承知、歌を作る
時計は廻り日付けを変える
引き伸ばした夜が薄まって彼は誰
今日が昨日に、明日が今日になって
俺はまた遅い支度にかかる
五分早めた時計の針が
また今日も朝の鐘を鳴らす
Written by: 榎本力良