うらとみ幻歌

二度とは帰れぬ加計呂麻島を

照らす十五夜お月様

この海に身を任す

行方知れない流れの舟よ

ああーお父さんお母さん

うらとみの不孝を許して下さいね

薩摩の役人の島妻になんかわたしは

いきじ

どうしてもなれない。それが奄美の女の意気地。

けれどわたしが拒ために村の人にまで役人のひどい仕打ちが。

ああ～わたしはもうこの島にいることはできない。

さようなら加計呂麻の島。さようなら お父さん。お母さん

小野津の村に引かれて着いて情け交わした喜界島

設新は見えぬけど

きっと伝えて波間の千鳥

ああーこの島で母になり

うらとみはたっしゃで暮らしていますよと

アオサ採りに行った娘が帰ってこない。

探しても探しても見つからない。

どこに行ったのむちゃかな。

この青い海に流されてしまったの。

むちゃかな。むちゃかな

青久の海を流れた娘

探しあぐねて岬に立てば

さだめ

これが親子の哀しい迷

せめてあの世で楽しい夢を

ああーむちゃかなよむちゃかなよ

この母をもう少し待っていておくれ

むちゃかなー