電車、滑り落ちる、ヘッドフォン

ガタガタと電車は音を立てているはずさ

ポタポタと夕暮れがこぼれ落ちてゆく

僕はそれを捉えながらヘッドフォンに潜り込む

現実の輪郭が少しぼやけていく

粉々になってくカバンの中の秘め事

指輪外した後の習性に似た動き

僕はそれを捉えながら音の波に潜り込む

気詰まりな現実は少し紛れてた

３番線の下り電車に引っかかっている昨日

夢ならいいって何度も吐き出した

扉が閉まるその前に忘れ物がないか確かめて

外の世界をぷっつりと切ってどこへ行こう？

そろそろ僕の後ろをつきが追いかけるはずさ

ゆらゆらと影法師が形を無くしてく

どれだけ君を待ったって 夜をまたいで行くだけさ

いつか飲み込むその時を頭から逃がしている

３分間のラストシーンをリピート再生して歩いている

いつの間にか昨日が遠くなる 届きそうでもう届かない

君とのキャッチボールの中で

どれだけの思いを投げられたんだろう？

３番線の下り電車に引っかかっている昨日

夢ならいいって何度も吐き出した

扉が閉まるその前に忘れ物がないか確かめる

君の癖が僕に染み付いている

散々な言葉の雨に濡れていくだけの僕ら

映画のような別れ 巻き戻せない

きっとそっと溶けてしまって 何もなかったみたいに

背中合わせの電車に乗り込んでさようなら