城崎しぐれ月

ちぎれた縁の　細糸を

ひとり手繰って　丹後を越えた

忘れられない　うなじの白さ

湯の香恋しい　城崎は

あの日と同じ　しぐれ月

あなたの知らない　傷ばかり

どうか忘れて　欲しいと泣いた

摘んで帰れぬ　いで湯の花よ

何処にいるのか　あの女の

吐息のような　しぐれ月

かなわぬ願いの　儚さを

知って揺れるか　川端柳

逢えるものなら　夢でもいいと

思慕いつなげる　城崎は

未練に霞んだ　しぐれ月