想い出はリタルダンド

「今日の一曲は最近かわいい猫の根付けを集めるのがマイブームの蕾さんと！」

「あ、阿岐留がおそろいにしたいといったからだし、、や、奴らに知られたらどうするんだ？」

「そんな仲良し二人で歌ってみま～す！」

「叶わぬ運命を慈しむ歌だ、聴いてくれ」

「想い出はリタルダンド！」

似合いもしない　ワンピースを着てたのは

あなたからのプレゼント　嬉しかったから

手も繋がない　時間は長かったけど

照れてる顔がかわいかった

コバルトブルーの青空に

白い境界線を描いた

夢を追いかけるそばにいたかったな

恋はアップテンポになって　次のメロディーを歌って

時の小さな忘れ物を気付かせない

ずっと待っているよなんて　言えないくらい好きだった

笑いあいながら　季節はあっという間に過ぎたよ

なのに　胸に響く想い出たちのテンポはリタルダンド

はしゃいだあと　急に真顔になったから

きっと遠くに行くって　なんとなく知ってた

今言ったら　後出しだとは思うけど

恋に落ちたのは　わたしが先

「まるで映画のラストシーン」

みたいにはならなかったね

どこか冗談っぽく　なってほしかったんだ

いつかまた会えるなんて　次はないのに気取って

「じゃあね」だなんて　軽口で逃げてしまった

これが最後だろうなって　着たんだ　あのワンピース

「やっぱりすごく似合ってるね」なんて言うんだ

照れた顔はほんと変わらないのに　時計は戻らないよ

恋はアップテンポなのに

想い出はリタルダンド

次のメロディーが鳴るまでを遠くするよ

ずっと待っているよなんて　言えないくらい好きだった

笑いあいながら　さみしくなるよって言った日から

メトロノーム揺らすあの恋はまだ　コバルトブルーのまま

瞳を揺らしてる