冬の匂い

洗いたての古着の匂いにまだ

慣れずに干しっぱなし

日当たりのいいベランダでよかった

毎朝希望をもらったんだ

歳とともに小さくなるお父さん

好きなように生きててほしいよ

いつも愚痴ばっか言ってたお母さんの

筑前煮が食べたいよ

二人の望むような未来になれたかな

聞かせてよ

あぁ帰る場所があるね

なんてあったかくて

冬の匂いをかき消した

こどものままの心でずっといられたら

あぁ思い出したよ

生まれてきた日のこと

僕の名前を呼ぶ

声が聞こえるよ

その声はあたたかくて