歌詞
ひっくり返した衣装ケースから出てきた小さな手袋は、赤色
ある寒い日、精一杯こちらへと伸ばされた紅葉を両の掌で包み込んだ
趣味のクロスワードはいつも最後まで解ききれない
そうして雑誌は溜まっていき、薄汚れた絵本と仲良く本棚で並んでいる
雑誌はそのうち捨てるだろうけど、きっと、絵本は一生捨てられない
カレーのルーにはこだわりがある
蜂蜜入りの少し甘いもの
実はあなたに言ってなかったことがある
本当は、私カレーが嫌いなの
それでも頻繁に作っていたのは、お腹を丸くしておかわりする姿が見たかったから
あなたの声に合わせて一緒に歌うと、つられて私も下手になった
元の音階は思い出せないけど、あなたの歌は昨日聞いたみたいにいつでも思い出せる
出口が見えない夜の中でも、あなたの調子っぱずれな歌声が私を朝へと導いた
産毛みたいな前髪、丸くて小さな爪、高い体温、真っ直ぐなまつ毛、笑うと右側にだけできるえくぼ
どんな些細なことでも覚えている私を、あなたはきっと笑うでしょう
そうよ、あなたは笑っててね
私が泣いても、笑っててね
Written by: 仮名, 故やす子


