夏の匂い

短い眠りから覚めたら

だらしなく回る扇風機

見えないものを探すことに

疲れたみたいだ

溶けたアイスの跡

赤信号の交差点

深く息を吸い込んで

今日とお別れしよう

あてもなく風が通り過ぎる

世界はオレンジ色に包まれて

君の影が笑っているよ

こんなに悲しいのに

冷たい雨が降る前に

二番線の電車乗って

甘い星を集めにいこう

夜空に急いで

あの日に見た夢の続きを

今はただ時の流れに

寄り添っていたい

揺れるカーテンのように

あてもなく風が通り過ぎる

世界はオレンジ色に包まれて

君と歩いた景色は無いよ

夏の匂いだけが

今もここに