ふたり

今夜、あなたと同じゆめを並んで観るの

 やさしいゆめ

 光を含んで吹く風 もう葉桜

 裸足を放って吐く息 春のうた

 あなたの皿により多く具を乗せて注いだスープ

 立ち込めた愛の匂い広がる

 今夜、あなたと同じゆめを並んで観るの

 やさしいゆめ

 その瞼に映し出して 特別なフィルム

 ふたりのゆめ

 触れたい額に日の影 仄かに震える

 春色の表紙を開く手 本を読む

 捲るページ違う世界 確かに隣に居る

 咳払いが聞こえて不意に還るこの心

 ああ、あなたと同じときを刻んでいたいの

 やさしいとき

 ただぼんやりと不安な日は思い出すの

 ふたりのとき

 何度繰り返し重ねたって薄れない

 ことばもあるのね

 想像の上で思いやってくれる

 理解の上で尊敬しているの

 素晴らしい夜

 今夜、あなたと同じゆめを並んで観るの

 やさしいゆめ

 その瞼に映し出して 特別なフィルム

 ふたりのゆめ