シャドウ

無邪気な悪意を

引き摺って歩いていた

ふらふら、ゆらゆら

拭えなくって濁った僕の目

誰も彼も皆

己が影を孕んでいるんだ

縛っていく様に仕舞い込んでいた

褪せたフィルムに息衝くきみ

此方を覗いて笑う

深い静寂に溶けたい

繰り返す呼吸の痛みが

僕らをまだ繋いでいるのだろう

届かないものと割り切れば

まだマシに思えた気がするんだよ

目を瞑った自分を投射した亡霊の様だった

ずっと僕の臍の緒を伝う様に

熱を奪っていた

誰もが描く理想を

抱える暇も無くて

ぐらぐら、ゆらゆら

這いつくばって茹る人の群れ

夢から醒める度に

消えてしまいたいと願う程に

変わって行く何かに狼狽した

微かに色付くきみの中に

僕を見た気がした

近付く程にぼやけてゆく

目を瞑りたい様な醜い僕も愛したい

残された日々の苦しみが

僕らをまだ繋いでいるのなら

捨ててきた時間も誓いも

その全てを抱えて生きていたい

繰り返す呼吸の痛みが

僕らをまだ繋いでいるのだろう

届かないものと割り切れば

まだマシに思えた気がするんだよ

目を伏せた自分を象徴した亡霊の様だった

ずっと僕の静寂を穿つ日を只待っていたんだ