Tekst Utworu
無音の部屋で
ボクとキミは
だまってすわる
手を握ることも
キスをすることもなく
窓から差し込む
光だけが漣をうつ
遠慮することも
はにかむこともなく
いつしか根っこが
足から生え出して
ボクとキミの体は
やがて樹になり
広げた腕に
葉っぱが繁り
花を咲かせ鳥を迎え
たわわに赤い実を
秋に穣らせる
女たちはそれを食べ
「おいしい」などと言う
男たちはそれを食べ
知ったようなことを言う
いつしか
月の涙は雪に変わり
ボクとキミの体をすべて
白く覆いつくすまで降りつづける
寒い冬を
乗り越えたら
あちらこちらにも
春が芽を出す
ボクとキミは
その時再び目を覚ます
そしてボクは
キミを見て
「まぶしい」などと言う
無音の部屋で
ボクとキミは
並んですわってる
Written by: ハシケン


