Credits
PERFORMING ARTISTS
Kotegirigou
Performer
Buzengou
Performer
Kuwanagou
Performer
Matsuigou
Performer
Samidaregou
Performer
Murakumogou
Performer
Suishinshi Masahide
Performer
Touken Danshi from Touken Ranbu:The Musical
Performer
COMPOSITION & LYRICS
Sayaka Asai
Lyrics
YOSHIZUMI
Composer
Lyrics
[Verse 1]
「江戸時代後期に曲亭馬琴によって書かれた長編小説……」
『南総里見八犬伝』
[Verse 2]
「昔々、実り豊かな安房(あわ)の土地を狙う一人の魔女がおりました」
その名は玉梓
[Verse 3]
「里見義実が治める国を我がものにしようと企んだ玉梓でしたが、捕らえられてしまいます。
処刑されんとするまさにその時……」
涙に濡れた美しき魔女
「『風ひとつ吹けば散らされそうな、か弱きこの身で一体何ができましょう?
里見の殿よ。本当に妾(わらわ)が国を乗っ取ろうとしたとお思いですか…?』」
涙に濡れた美しき瞳
[Verse 4]
「息を呑む義実」
「『…これほど美しい者が、謀反の罪を犯すものだろうか…』」
「心を奪われた義実は、処刑を取りやめようとしました」
「『か弱き者を殺すのは、どうかと思う。…命だけは許そう』」
「『…嗚呼!ありがとうございます…。里見の殿』」
「だが…」
[Verse 5]
騙されてはなりませぬ!玉梓は悪しき魔女
「家来の一声で我に返った義実」
「『そうであった。…この者は心操る怪しき魔女。今すぐ死刑にせよ!』」
[Verse 6]
途端に美しき顔は 歪み崩れた
「『その口から一度(ひとたび)こぼれ落ちた赦しの言葉が、
まだ妾(わらわ)の耳に残っている内に、再び同じ口から吐き出された容赦なき宣告…。
妾(わらわ)の命をもてあそぶとは……おのれ里見義実、許すまじ…!』」
「『ええい黙れ!』」
[Verse 7]
「『待て!』」
「『待て!』」
「『覚悟!』」
[Verse 8]
呪ってやろう 里見に関わる者みな
滅びよ 犬になれ
滅びよ 犬になれ
「……呪いの言葉を残し、玉梓の首は何処へと消えてゆきました」
[Verse 9]
「……翌年の夏に生まれた義実の娘は、それはそれは美しい姫君に育ちました」
その名は伏姫
[Verse 10]
「伏姫の首には、八つの大きな珠がついた数珠が掛けられておりました。
それは、幼き頃に不思議な老人から譲り受けたもの」
「『この八つの珠は、里見の国を守るであろう』」
「そして、伏姫のそばにはいつも、八房という名の大きな犬がおりました」
「『ワン!』」
そのからだのあちこちには
牡丹柄のぶち 八つ
[Verse 11]
「……隣国との激しい戦いが続き、里見の国は窮地に立たされておりました。そんな折、義実は八房に冗談をこぼします」
「『なあ八房。……お前が敵将を食い殺せば、皆が助かるぞ。褒美に魚の肉でもやろう』」
「『くぅーん』……」
「『ははは。魚の肉では不服と見える。ならば何を与えようか。身分も領地も欲しがるようには思えぬ。
…そうじゃ。お前の大好きな伏姫をやろう』」
「……それは、誠に悪い冗談でございました」
「『わおぉぉーーーん』……」
[Verse 12]
その夜 敵陣が何故か 総崩れ
八房が咥えてきた生首……
「それはまさしく、敵将の首だったのです。……約束通り、伏姫は八房の嫁となりました」
[Verse 13]
「山の奥で八房と共にひっそりと暮らす伏姫。…そこに一人の武士がやってきました」
「『あの犬がいる限り、姫様は里見の国に戻って来られぬ…』」
『なんとしても伏姫様を』
『とり戻す!』
「『覚悟―!』」
[Verse 14]
放たれた弾丸は
見事八房を捉えた
「しかし…」
[Verse 15]
嗚呼…
嗚呼…
[Verse 16]
「弾丸は八房を貫通し、伏姫の右胸に当たってしまったのです」
倒れる伏姫
「『姫様!』」
[Verse 17]
「駆け寄った武士の腕の中で、伏姫はもう虫の息」
「『しっかりしてください!伏姫様!』」
「実はその武士は、伏姫の愛した許嫁でございました」
[Verse 18]
立ちこめる 黒い霧
浮かび上がる 血走った目
真っ赤に 裂けた口
その口が語る
[Verse 19]
『滅びよ 犬になれ』
『呪いはまだ続く』
[Verse 20]
「最期の力を振り絞って、伏姫は叫びました」
「『決して呪いに負けません。……八犬士よ、来たれ!!』」
[Outro]
切り裂くような光
伏姫の数珠から弾かれた
八つの珠
黒い霧を消してゆく
Written by: Sayaka Asai, YOSHIZUMI