52ヘルツのクジラ

言葉の代わりに吐いた煙も

 宙に舞うだけで伝わらなくて

 僕たち優しくなれないね

 君はもう月まで行けたかな

 寂しい夜の怖い夢

 僕なら全部食べてあげる

 もういっそ海の底まで

 ふたりで堕ちていけたらいいな

 孤独な海の黒いクジラは

 君と出会って青を知る

 傷んだ髪も撫でてくれる

 それでまた生きていける

 52ヘルツで鳴くクジラを

 君が見つけてくれたから

 空っぽだった心が今

 空と同じ色に染まっていくよ

 確かにそこにある愛に

 触れたら壊れてしまいそうで

 僕たち優しくなれたかな

 君はもう星に溶けたみたいだ

 押し寄せる不安の波は

 僕を連れ去ってはくれない

 色褪せてく今日の日を

 君は忘れないでいてくれる？

 孤独な海の黒いクジラは

 君と出会って青を抱く

 煙ではぐらかした言葉に

 もう一度火をつけた

 52ヘルツで鳴くクジラの

 声を探してくれたから

 知らない街も怖くないよ

 君が指す方なら着いて行くよ

 言葉の代わりに吐いた煙も

 宙に舞うだけじゃ伝わらないね

 僕たち優しくなれたよね

 君はもう月まで行けたかな