Lily's Taylor

「王宮の依頼だってお断りよ。そうでしょう？」

都はいま浮かれ気分ね

鳴り渡る鈴と共に

二人結わえたはずの

絹糸は解れたままで

灯りのないアトリエには

煌々と舞い踊る無垢な衣装

見つめるのは手繰る糸だけ　二人の世界

縺れ合って織りなす　誰もを輝かせ

憧れの眼差しも　届かない程に

誓い合った　それさえ忘れて

今日も街の喧噪を横目に見繕うだけ

無垢な日々に夢見ていてた

仕立て屋の物語　縫い合わせて

私だけのベールは今や誰のものに

寄り添い合い紡ぎ出す　誰もが羨んで

やがて沁みだす毒に　気付かない程に

「嫌なものは嫌なの。忙しいから。」

「それじゃあ、お断りの手紙を書いてあげるわ。」

解れては絡み合う　継ぎ接ぎの心は

指先のぬくもりも　忘れたでしょう？

縺れ合って織りなす　貴方を輝かせ

幼い日の眼差しを　思い出せるように